個人農家が野菜のネット販売で儲けることは可能か?就農7年目の農家の個人的意見です。

こんにちは。就農7年目島根県のアロエベラ農家の杉谷です。
今回は『個人の農家が野菜のネット販売で儲けることは可能か?』について書いていこうと思います。

僕はアロエベラのみを栽培し農繁期以外はほぼ自分一人で営農しています。
主なアロエベラの販路はネット販売のみで年商約1000万円です。
この記事は個人的な経験のみで書かせていただきますのでご了承ください。
成功、失敗談はいろいろありますからね。

ネット販売で儲けることが可能か?

あろえん君

農家直送のネットショップ増えているよね?やっぱり儲かるのかな〜

結論から言うと答えは「NO」です。決して儲かる(収入が増える)訳ではありません。
確かにJAや市場を通さない分、取り分が増えるので利益が上がる!という意味では合っていると思いますが今までの2倍〜3倍で売れることはありません。

とはいえ、個人農家によるネット販売が意味のないものか?というと違います。
一般的には市場やJAの部会を通して出荷をするので、他の生産者の作物と同じにされこだわりのある生産方法に取り組まれている農家にとっては、ネット販売で直接販売する方が自分の農業に対する承認欲求が満たされます。

「○○さんの作る野菜は美味しいですね!」

これです。SNSに投稿されたりすると、とても嬉しいです。誰でも自分の仕事が認められるのは嬉しいですよね。

ただし、これだけです。Facebookに投稿し知り合いが数人ネット経由で買ってくれ、それをSNSに投稿していいね!がつく。それが目的の方は無料のネットショップを利用してFacebook経由で知り合いに買ってもらっても良いでしょう。

個人農家のネットショップのアクセス数は?売上は?

あろえん君

知り合いにだけ買ってもらっても意味ないんだよな。もっと沢山の人に買ってもらいたい!

知り合いに買ってもらいだけなのであれば、無料のサービスを利用するのも良いですし、リアルの知り合いであれば近所の産直市場に野菜を出したほうが良いと思います。

ネットショップを開店させるのであれば、今まで以上の売上を目標にされるかと思いますので簡単な目安をお伝えします。

僕は、はじめから楽天市場に出店しました。
今既にSNSで知り合い以外のフォロワーが多くいらっしゃるのであれば無料のサービスを利用し告知すれば売上はあげれるかと思いますが、全くネット上での知名度が無い状態であれば無料のサービスではまずお客は来ません。

グーグルで「○○さん ミニトマト 販売」などで検索される事はまずありませんが、楽天市場に出店をすれば楽天市場内で「ミニトマト」と検索を入れるとヒットしやすくなります。

ただし注意が必要で「ミニトマト」だけの検索で簡単に上位表示されるほど甘く有りません。
楽天内でもミニトマトであれば数え切れないほどの商品が表示されます。品種名であったり価格などで選ばれる理由が必要です。

個人農家のネットショップの売上は?

目安ですが、楽天市場で開店し3年間、月の売上が10万円以内のショップが半分。というのが以前、県で行われたネットショップ運営の勉強会のデータでした。
僕のショップは初月の売上は8,000円、半年後には5万円。2年目は10万円〜15万円。という結果でした。

開店当時は、アロエベラの栽培をはじめたばかりだったので、そもそもの生産量が少なかったので売上は伸びませんでした。
ネットで購入された方が翌月リピーターになられても、収穫が終わっている。という状況でしたので、農産物を継続的に販売し続ける難しさにも気づくことができました。

ネット販売に向いている農家とは?

これまで、個人の農家がネット販売をしたからといって必ず儲かる訳ではない。
ネットショップをオープンしたからといって直ぐに売上がでる訳ではない。
という事をお伝えしました。

それではネットショップを上手く利用し、ネット販売に向いているものをまとめてみようと思います。

米の販売

以外かも知れませんが、お米はネットでよく売れます。
理由は『重いから』。
ネットショップのランキングでいつも上位にランクインしている商品、それはお水です。理由は簡単で、大量に買うと重くてスーパーまで買いに行けないからです。
お米は日本人だれもが食べるものですよね。
ネット販売において「おいしい◯◯◯」以外で買う理由があるのは大事なことです。JAに出荷する1袋30kgでは重すぎるので10kg〜20kgの範囲で価格を決め販売しましょう。
当然ですが、味に自信があればです。といいますか、自分のつくった作物が全国的にどのポジションがいるかを良く理解しておく必要もあります。
過剰に「栽培方法にこだわっています!」と謳っても味が伴わなければレビューが荒れるだけですから。

果物

自分の周りにも果樹農家でネット販売をはじめ成功される方は多いです。
果物は贈答用に利用される方が多く、一般的な野菜に比べ単価が高めに設定できます。
化粧箱にこだわり贈り物に適した状態で販売すれば、送られる側も農家から直接良いものが届いた!と喜ばれます。
今の時代、デパートやカタログギフトの贈答品は割高感がすごくて買う気になりませんよね。
みかんは贈答用とまではいきませんが、箱買いされる方が多いのでネット販売でも売りやすいです。

珍しい作物

最後に珍しい作物です。全国的に生産者が少なく、JAや市場などでは扱っていないものです。限られたお店でしか販売されていない場合、ネットで探される方は多いです。
ただし栽培方法が特殊すぎたり、収穫時期が極端に短いものは工夫が必要です。
珍しい作物だと、ライバルが少ないのでアクセスは集めやすいですが販売量が少なすぎたり、次に販売できるのが1年後とかになるとリピーターも育ちません。
珍しいだけでなく、できるだけ多く、継続的に提供できる仕組みをつくる事がよいでしょう。

僕がアロエベラをネットで販売しているのも、この理由です。誰もが知っている植物でありますが食用で売られているのは少なく、全国的に生産者も少ない。という隙間で戦っています。

まとめ

これまで個人農家によるネット販売について書かせてもらいました。

今では無料で誰でも簡単にネットショップを開設することができます。
ネットショップを開設するにも理由はさまざまですよね。

  • 知り合いに自分の野菜を買ってほしい
  • オリジナルのブランドで野菜を売りたい
  • 販売単価を上げたい
  • 量を多く売りたい
  • なんとなくやってみたい

どの理由でも良いかと思います。
ただし誰でもできる分、作っただけで売れずに終わる方が半分以上だと思います。
有料の楽天市場でさえ半分が売上10万円未満ですからね。。

まずは無料でネットショップを開設し、Facebookなどで宣伝し売る。

そして通常の作業だけでなく、ネットショップで売ると、このような作業が増えるんだなぁ。くらいの感覚が身につけば良いと思います。

メールのやり取り、不良品の対応、梱包、決済処理、ショップの更新作業、いろいろありますから。

以上です。ここまで読んでいただきありがとうございました。

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